僕の行く 先々にあらわれる 君の後ろ姿
通勤途中、帰宅途中、あるいは歩道橋の上で
ここには君が居ない事は知ってる
遠い所で素敵であろう彼と住んでいる事を知ってる
でも後ろ姿が
秋に君が好んできていた黒いジャケット
だぶついたジーンズ 白のスニーカー
左腕にかばんをからませて 全然まとまっていない髪の毛を
帽子でおさえつけて
化粧っ気もない ふつうの可愛い笑顔
あの後ろ姿が君じゃないことなんか 僕は知ってる
でも 君の後ろ姿が
それまで僕が思っていたこと考えていたことの思考を全てストップさせて
息をするのも忘れて心臓さえもが
僕の網膜に張り付く 胸の奥に焼きごてで押し付けられた記憶
そのぜんぶがおしよせてくるんだよ
君の優しい瞳 ちいさな鼻 柔らかい唇
僕の手で包み込んでしまえそうな小さな暖かい手
髪の毛もその匂いも柔らかな肌も暖かい声も粘っこい舌も尖った胸の先君の手が腕が僕に絡みついて僕は逃げれない暖かい君の体の中に入っていくすべてが僕が強く抱きしめているはずなのにいつの間にか護られた
そうして君はまた去っていく僕に何も残さないままで
通勤途中で、帰宅途中で、あるいはスクランブル交差点の真ん中で